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仲居さん日記22~コロナ禍でも改善されたと感じていること

先輩仲居さんの動線をお邪魔しないように、自分の仕事をするのが大変でした。

 

同時に、色々なお部屋のお料理が出来上がってくるので、自分の担当のお部屋のものだと確認するのも大変でした。

 

コロナ禍では、そんな心配からは解放されています。

 

まず、お客様がほとんどお出でになりません。

ですので、仲居さんは一人体制。

板場は6人から2人にまでに減らしています。

というか、お人が変わっています。

 

以前の板場は、さっさとお料理を出して休憩に入りたいというのがありありと見えました。

昼も夜も忙しかったので、お疲れだったのだと思います。

会席をご予約のお客様に対しても、まだ飲んでるの?って感じでした。

いえ、”まだ食事を出せないの?” と聞かれることもありました。

お飲み物は、簡単に利益が出るありがたい商品です。

 

  グラスに入ったビールのイラスト日本酒のイラストグラスに入ったウイスキーのイラスト

 

お店側の人全員で、感謝を共有すべきだと思いますのに、とても残念でした。

 

私は、ご両家のお顔合わせや、お宮参りなどの特別なお集りのお世話をさせて頂くのが大好きで、それをアピールしておりますので、お部屋の担当にさせて頂くことが多いです。

好きでしている訳ですがが、お飲み物の追加の度に、廊下を行ったり来たりするのは大変です。

そこを頑張っているのに、板場には何やってるの?遅い!的な目でみられて、理不尽にさえ感じていました。

 

板場の圧に負けて、お客様の本来のタイミングよりも早くお出ししてしまう自分のプライドの無さも嫌でした。

ガッカリしている人のイラスト(女性)

 

今の板場は、お客様を第一に、多少面倒なお願いでも嫌な顔をせず、少なくても仲居さんの私が、板場とお客様の間で気を使わずにすんでいます。

 

<お刺身と天ぷらの御膳>というメニューがあります。

これは平日の昼のメニューでしたが、コロナ禍の今は、昼夜、平日休日、メニューは変わりません。

 

以前は、小鉢と茶碗蒸しが出ると、すぐにお刺身、天ぷら、ご飯、味噌汁、香の物が有無を言わさず、上がってきてお出しするシステムになっていました。

 

お客様がビールをお代わりして下さっているのに、お味噌汁までお出しするのは本当に嫌でした。

 

コロナ禍で、暇になってからは、ますます一気出しのようになりましたが、少し前までの板場には何も言えない雰囲気がありました。

 

板場の体制が、今のお二人になった頃、お客様からネットでご批判がありました。

”まだ、飲んでいるのに、ご飯と味噌汁まで出された。以前は、頃合いを見て運ばれてきたのに、サービスが落ちている” という内容のお叱りでした。

 

お客様にも誤解はございまして、お客様が前にご来店の時は会席のコースをお召し上がりでしたので、その違いはありました。

 

でも、良心的な価格設定の店とはいえ、また、たとえ10%とだとしても、サービス料を頂く店です。

お客様のご批判はごもっともだと思います。

 

思い切って、今の板長に、小鉢と茶碗蒸しの後のお料理は、声かけで作って頂けないかと伺ってみました。

お客様のクレームを隠れ蓑に、これまで言いたくても言えなかったことをお願いしたのです。

でも、今はそれを言えるような雰囲気の板場です。

 

 一組のお客様に全精力を傾けることが出来る今の状況です。

こんな状況の中、店を信じてご来店下さったお客様に、丁寧な接客をしなければ、後が無いと思います。

 

板長は、お客様の事を一番身近で見ているのは仲居さんなんだから、任せると言って下さいました。

 

先日、嬉しいことがありました。

 

”僕たちの様子を見てて、お料理を持って来てくれたんですか?” とお客様。

 

ーーーハッキリ言って、覗いています。

ーーーあまりお近くまで伺いますと、お邪魔になるので、陰の方から覗いています。

 

家政婦は見た!みたいで怖かったですか?あまりお邪魔にならないようにと思ったのですが、、、”

 

”いえ、感じいいな!と思って”

 

ーーー虹色のハートのイラスト

 

 

その後も、”お気遣いありがとうございます” とお声をかけて下さって、こちらの方が恐縮してしまいました。

 

本当はお見送りもしたかったのですが、お帰りまでお待ち出来ずに申し訳ありません。

コロナ禍では、利益を出すなんて夢のまた夢。

バイト仲居さんである私の時給もおろそかには出来ない状況です。

 

最後のデザートをお出しするときがお客様とのお別れです。

そこまで、心を込めて務めさせて頂きます。