バイト先のお客様は、お優しい方が多いです。
先日、こちらが申し訳なく思ってしまうほど、気が付かれるお客様がお出で下さいました。
金婚式のお祝いのお席でした。
総勢10名様。
金婚式を迎えられるご両親様と、お子様のご夫婦2組。そして、それぞれのご夫婦に2人づつのお子様(お孫さん)です。
この会を仕切っていらっしゃるのは、ご長女の方です。
お飲み物を伺いに参りました時も
”では、生ビールの人ぉ~!”
そのお声に、手が上がります。
”1,2,3、4,5と、、、○○ちゃん、ごめんね。運転手させちゃって”
義理の妹さん、つまりはこの家のお嫁さんは、ご両親の送り迎えの車の運転を担当されているようです。
お子様方のお飲み物も確認して下さって、私に的確にご指示下さいます。
とても助かります。
個室まで、お料理は長手に載せて運びます。
大勢様ですと、何枚かになります。
私が、お料理の載った長手をお部屋に運んでいき、さて、置きましょうと思ったら、置くところがありません。
下げた器用の空の長手が置かれていました。
よく来て下さる配膳会の仲居さんがそこにいらしたので
”○○さ~ん、ピンチ!”
と、声をかけました。
甘え上手な私と、よく気が付く配膳さん。
そこはすぐに察して下さいました。
ところが、その一瞬早く、お客様が
”あっ、はい”
とおっしゃって、お席を立たれて、空の長手をどけて下さったのです。
なんと素早い動き!
素早過ぎて、ご遠慮する暇もありませんでした。
ほほあん
”お客様に申し訳ない事でございます”
お客様
”いいえ、とんでもないで~す”
ほほあん
”ありがとうございます。助かりました”
金婚式のお祝いということで、お店の方からサプライズで鯛めしをご用意させて頂きました。
皆さんに一膳づつは、こちらでお付けするのですが、お替りはお任せ致します。
ほほあん
”まだ、たくさん残ってございます。どうぞお替りなさってくださいませ。
恐れ入りますが、お給仕はお客様にお願い致します”
お客様
”はい。解かりました。みんなぁ~お替わりは、私までどうぞぉ~”
デザートまでお出しして、本日のご来店のお礼を申し上げますと、なんと、そのお客様は、御自分もお立ちになって
”色々お世話になりました。ありがとうございました”
とおっしゃって下さいました。
丁寧にお礼をおっしゃる方はおいでになりますが、わざわざお席を立ってご挨拶を頂いたのは初めてです。
礼儀正しいとか、きちんとなさっているとか、そういうレベルのことでは無くて、自然なお振る舞いで、人として素敵というか、尊敬できる方でした。
全てのことに意味があると思っております。
お客様と接客という立場ではございますが、こういう方と巡り会えたことに感謝致します。
見習いたいと思います。