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仲居さん日記72~入っちゃダメと言われました

平日には珍しい、ご両家お顔合わせのお部屋でした。

 

親族でお食事としか伺っておりませんでしたが、若いカップルと、中年のカップルがお二組ですもの、それと判ります。

 

ほほあん

”本日は、お顔合わせでいらっしゃいますか”

 

お婿さん

”はい、そうです”

 

ほほあん

”おめでとうございます”

 

お客様

”ありがとうございます”

 

な~んて、いい感じでご挨拶が出来ました。

 

お料理に、1ドリンク付きのコースをご予約頂いておりましたので

皆様に、選んで頂いて

 

ほほあん

”では、ご用意させて頂きます”

 

と、オーダーされた、生ビール2つ、ノンアルコールビールの小瓶1本

ウーロン茶2つ、オレンジジュース1つ

を、持って

 

ほほあん

”失礼致します”

 

”は~い” と、お声が聞こえました。

 

ほほあん

”お父様は、生ビールでございましたね”

と、お嫁さんのお父様に生ビールを置こうと致しましたら

 

お婿さんのお父様が

     威張っている人のイラスト

 

”今、話してるんだから、入って来ないで!”

 

ええええええ Σ( ̄□ ̄|||)

 

だからぁ、失礼しますって言ったよぉ~わたし

は~い ってお答えあったよぉ~

 

だいたい、お飲み物をご用意しますって、さっき、私、言ったよね。

お願いしま~す、みたいでしたよね。

だから、持ってきたのよ。

???

 

ほほあん

”ビールの泡が消えてしまいますが、、、”

 

お婿さんのお父さん

”いいからっ” 

 

そりゃ、そうでしょう。あなた様はノンアルコールビールの小瓶なのですから

泡が消えたビールを飲むのは、お嫁さんのお父様と、あなた様の息子さんだよ。

 

まっ、でもいいって言うんだからいいか。

私が飲む訳じゃないし。

 

お婿さんに、

”呼んで頂くまで下がっておりますので、お話が済まれましたらベルを鳴らして下さいませ”

と、言って部屋を出て参りました。

 

お嫁さんのお父様のビールをお出ししただけで、残りのお飲み物は配膳台の上に置いたままです。

 

裏では、私がお飲み物を運んだので、お料理がスタートしています。

 

店長に

”入っちゃダメって言われました。呼ばれるまで行けません”

 

店長

”おおお、厳しいですね”

 

その後、呼ばれるかと思いきや、お婿さんが出ていらして

”栓抜き貸して頂けますか”

 

ノンアルコールビールの栓を抜かないまま、放置してきました。

 

だって、早く出て行けって感じでしたもん。

 

どうやら、私が出た後に、お婿さんが皆さんのお飲み物を配って下さったようです。

で、出て行け!のお父様だけが栓がしてあって飲めなかったという訳です。

 

私の中の黒いほほあんが、くすっと笑います

 

     悪魔のコスプレをしている女の子のイラスト

 

 

しばらくして、ベルが鳴りましたので伺いました。

 

ほほあん

”お食事を始めさせて頂いてよろしいでしょうか”

 

”お願いします”

 

やれやれ、これでお料理をお配り出来ます。

 

すると、出て行けのお父様が

”この、割り箸!”

 

えっ何?今度は割り箸?気に入らないの?

 

ほほあん

”お父様にはお気に召しませんでしたでしょうか”

 

お父様

”いや、丈夫でいい割り箸だ”

 

あっ、そうなんだ。まっ、良かった。

 

この件も、一応店長に報告

 

店長

”読めませんね”

 

少し心配でしたが、なごやかにお食事をなさっているご様子です。

 

出て行け!のお父様もノンアルコールビールをお替りして下さいました。

 

ここは、最初にお注ぎしていないので、私が注がせて頂きましょう。

 

ほほあん

”お父様、失礼して、注がせて頂きます”

 

お父様

”ああ、いいよ。自分でする”

 

想定内です。

 

ところが、

お父様

”いや、お姉さんに注いでもらった方が旨そうだな。お願いするか”

 

へぇ~

 

ほほあん

”同じだったらどうしましょ”

 

笑って頂けました。

 

お婿さんのお兄様のお嫁さんが、かなりの美人だという話題になったときも

 

お婿さんのお父様

”確かに、彼女の顔立ちはとても整っていると思うよ。

でも、〇〇ちゃんは、癒し系の美人だよ!実に可愛いよ”

 

と、にこにことお嫁さんにお声をかけていらっしゃいました。

 

思うに、お婿さんのお父様は、お立場として、御自分が最初のご挨拶をちゃんとしなければ!と、プレッシャーの中、お話を始められたのでしょう。

 

そこを私がお邪魔してしまったようです。

 

難しいお客様でも何でも無かったのです。

 

ご両家お顔合わせは、御当人様も緊張なさっていますが、ご両親様もたいへん気を使われています。

 

こちらも、もう少しの気働きが必要でした。