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仲居さん日記71~花火が終わって

いつもはお昼だけのバイトなのですが、花火当日は猫の手も借りたい状態なので、14時入りで22時までお仕事でした。

 

その間、母は一人でお留守番

 

花火当日の閉店後、お店ではお料理やお酒が振舞われるのですが、

私はさっさと帰って、母とビールを飲む方が気楽で良いのです。

お弁当を頂いてお先に失礼しました。

そういう勝手な行動も許されるのはありがたいです。

 

社長のご挨拶も聞かずに、帰ろうとする私に、社長は

”お疲れ様。ありがとうございました”

と、お声をかけて下さいます。

 

お父様から、レストラン数軒と、ゴルフ場と、あと、色々受け継がれた、お金持ちのお嬢様です。

と、言っても私よりも年上でいらっしゃいます。

 

初めてお会いしたときも、美しい方だと思いましたが、今も変わらずにお綺麗です。

 

 

後でテレビの報道を見ますと、花火帰りの方々の混雑はすさまじかった様ですが、私が帰るときは、大分落ち着いていました。

 

それでも、電車は座ることができずにおりましたら、浴衣をお召になった紳士が

”どうぞ”

 

私とおなじくらいの年齢に見えます。

あちらからは、私が疲れているように見えたのかもしれません。

 

”よろしいんですか?ありがとうございます”

 

”やはり、お着物の女性には座って頂きませんと、、、”

 

お言葉に甘えて座らせて頂きますと、隣に座っていた若い男性が、気まずかったのでしょうか、お立ちになりました。

 

で、その紳士は私のお隣に座り直しました。

 

ほほあん

”花火にいらしたのですか?”

 

浴衣の紳士

”ええ、実は会社が隅田川の畔にありまして、今日はお客様を接待しておりました”

 

ほほあん

”お疲れ様でございました”

 

浴衣の紳士

”そちらも花火ですか?”

 

ほほあん

”私は、花火見物のお客さまのお料理をお運びしておりました”

 

浴衣の紳士

”お疲れさまでした

今年の花火は綺麗でしたね”

 

ほほあん

”私もそう感じました。風が丁度良く吹いてくれたのでしょうか。色が鮮やかに見えました”

 

などと、少しだけおしゃべりさせて頂きました。

 

ずっとお話しするのも鬱陶しいので、目を閉じましたが、私が知らない方とお話をするのは珍しいことです。

 

お花見も人の心を和らげますが、花火も同じような効果があるのかも知れません。