いつもはお昼だけのバイトなのですが、花火当日は猫の手も借りたい状態なので、14時入りで22時までお仕事でした。
その間、母は一人でお留守番
花火当日の閉店後、お店ではお料理やお酒が振舞われるのですが、
私はさっさと帰って、母とビールを飲む方が気楽で良いのです。
お弁当を頂いてお先に失礼しました。
そういう勝手な行動も許されるのはありがたいです。
社長のご挨拶も聞かずに、帰ろうとする私に、社長は
”お疲れ様。ありがとうございました”
と、お声をかけて下さいます。
お父様から、レストラン数軒と、ゴルフ場と、あと、色々受け継がれた、お金持ちのお嬢様です。
と、言っても私よりも年上でいらっしゃいます。
初めてお会いしたときも、美しい方だと思いましたが、今も変わらずにお綺麗です。
後でテレビの報道を見ますと、花火帰りの方々の混雑はすさまじかった様ですが、私が帰るときは、大分落ち着いていました。
それでも、電車は座ることができずにおりましたら、浴衣をお召になった紳士が
”どうぞ”
私とおなじくらいの年齢に見えます。
あちらからは、私が疲れているように見えたのかもしれません。
”よろしいんですか?ありがとうございます”
”やはり、お着物の女性には座って頂きませんと、、、”
お言葉に甘えて座らせて頂きますと、隣に座っていた若い男性が、気まずかったのでしょうか、お立ちになりました。
で、その紳士は私のお隣に座り直しました。
ほほあん
”花火にいらしたのですか?”
浴衣の紳士
”ええ、実は会社が隅田川の畔にありまして、今日はお客様を接待しておりました”
ほほあん
”お疲れ様でございました”
浴衣の紳士
”そちらも花火ですか?”
ほほあん
”私は、花火見物のお客さまのお料理をお運びしておりました”
浴衣の紳士
”お疲れさまでした
今年の花火は綺麗でしたね”
ほほあん
”私もそう感じました。風が丁度良く吹いてくれたのでしょうか。色が鮮やかに見えました”
などと、少しだけおしゃべりさせて頂きました。
ずっとお話しするのも鬱陶しいので、目を閉じましたが、私が知らない方とお話をするのは珍しいことです。
お花見も人の心を和らげますが、花火も同じような効果があるのかも知れません。