~バイリンガルのご両親を持つ坊ちゃん
七五三のお祝いのお席ですと、ご両親様、そのまたご両親様と、大人6名様+お子様のご予約が多いです。
ところが、大人2名と5歳のお子様というご予約でした。
思い込みの強い私です。
若いご夫婦がお二人で、ご両親を頼ることもなく、七五三のお参りもきちんとなさるなんて頑張っていらっしゃるなぁ~などと思っておりました。
お出でになったお三人。
5歳の坊ちゃんは、羽織袴姿。七五三ですからね。
お母様は、それは上等な訪問着。
そして、
お父様も羽織袴でした。
これ、けっこう珍しいです。
そして、お店に入られると、お父様が ”oh!nice view"
”ナイス ビュー” じゃないんですよ。”nice view" です。
お顔を2度見してしまいました。
日本人に見えます。いえ、日本人以外には見えません。
お部屋にご案内して、お飲み物を伺いますと、私に対しては日本語なのですが、お3人の間では英語でお話されています。
お子様に飲み物をお尋ねになるときも、”何がいいの?何飲むの?” ではなくて
”would you like~" 的な感じで聞いていらっしゃるのです。
ちょっと戸惑いつつも、まあ、ご両親が日本語が通じるので私にも勤まるでしょうと、気を取りなおして、、、
坊ちゃんのお衣裳をお食事で汚さないように、トーションを後ろからクリップの付いているゴムの紐で留めて、アブちゃんをしてさしあげようと、坊ちゃんの後ろに立った私。
これまでの流れで、思わず ”エクスキューズ三―” と申し上げたのですが、
”坊ちゃんは、日本語がお解かりになりますか?” とお母様にお尋ねいたしますと、
”もちろんです”
ーーーああああ、良かったぁ。っていうか、さっきのエクスキューズ三―が恥ずかしい
ご両親様は、帰国子女でいらして、日本に居ながら、お子様をバイリンガルに育てていらっしゃいます。
苦労もなく、英語が身に着くという羨ましい環境です。
思っていたイメージのご家族ではありませんが、配膳も、”終わったら次!では無くて、少し被っても大丈夫です” とか、指示が的確で、やりやすいお部屋でした。
お食事までお持ちしました。
”この後、デザートもございます。お食事が済まれましたら、お呼び下さいませ”と、お願いして下がろうとすると、
坊ちゃんが ”およびってなあに?”
どうも坊ちゃんの中では ”および下さい” つまりは ”give me oyobi" になっていたようです。
まだ、5歳。
日本語を覚えるだけでも大変ですのに、英語もどんどん耳に入ってきて、坊ちゃんの脳はフル回転ですね。
ガンバ!です!
お帰りに、ホールからの景色も見たいとおっしゃるので、ご案内致しました。
ふと、坊ちゃんを見ますと、トーションは外していらっしゃるのですが、クリップのついたゴムが、まるで衿飾りのように留められています。
”あらあら、坊ちゃん、せっかくのお殿様のお姿にゴムは残念ですので、取りますね”
と、外させて頂きましたら
”どうして取っちゃったの?”
ーーーもしかして、気に入ってつけていたの?
なんか、イヤよね。子どもからおもちゃを取り上げるみたいで
でも、皆さんにその度に差し上げる訳にもいかないし、
”立派なお姿にこのゴムは似合いませんよ”
”ふ~ん”
ご不満そうです。困りました。
ここで、お父様が、
”それは、お店の物だから、返さなくちゃダメなんだよ”
と、クールにご注意下さったので助かりました。
お帰りには私にもバイバイと手を振って下さったのでほっと致しました。