母と私の着物ぐらし

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仲居さん日記83~そのお言葉!嬉しいです!

お客様がお帰りになるときは、余程のことが無い限り、お見送りをしています。

 

       和服を着た中年女性のイラスト

 

 

”ありがとうございました” 

"ごちそうさまでした”

 

”ありがとうございました”

"お世話になりました”

 

が、一般的

 

お客様が笑顔でお帰りになったら、ほっと致します。

 

先日

”ありがとうございました”

と、頭を下げますと

"楽しかったです”

と、おっしゃって頂きました。

 

とっても、とっても、と~~~~~っても嬉しかったです。

 

 

いつも同じ気持ちで接客をしています。

ご両家お顔合わせの場合は、緊張なさっているお婿さんの応援団長の気持ちです。

でも、この気持ちが通じる事もありますし、空回りしてしまうこともあります。

 

お若いカップルが、素敵だなぁ~可愛らしいなぁ~と、こちらの気持ちが膨らみすぎると、失敗することもございます。

 

9月1日(日)は大安ということもあってでしょうか、お顔合わせのお客様が3組ございました。

 

私が担当させて頂いたお客様は、華やかな振り袖をお召しになっていらっしゃいました。

      

そうね。結婚されたら、振り袖をお召しになる機会は無くなりますものね。

 

その美しいお姿を未来のご主人様にご覧頂くというよりも、そのご衣装を揃えて下さったご両親様に、もう一度お見せするということに意味がありますね。

 

お嬢様は、そのお着物がお気に入りのご様子で、

"留め袖っていうけどぉ~この袖、この辺から短くして着られるのかなぁ?”

と、お婿さんとお話しされています。

 

ここ!口、挟んじゃいますよね。

 

"お嬢様、留め袖の本来の意味をご存じでいらっしゃいますね。

普通、留め袖と言いますと、結婚式の時に、お母様方がお召しになる黒留め袖を指しますが、本来はおっしゃった通りの意味でございます”

 

さらに、調子にのりました。

”振り袖にも、色々な柄がございまして、いかにもここで、、、”

 

危ない!

切るという言葉を使いそうになってしまいました。

 

落ち着いて

 

”ここで、、、留めるという感じに、お袖の柄が離れているデザインもございますが、振り袖としての華やかさは、お嬢様がお召しの総柄の方が断然上でございます。

私も、気にせず、訪問着に直しましたが、大丈夫でございました”

   

   何を言っているかというと、

   例えば

   このように、お袖全体に柄が広がっていますと、

   柄の途中で、袖をつめることになります。

   が、

     

   このタイプの柄ですと、袖をつめても柄が切れないので

   元は振り袖だったと、何方も気付かない感じの訪問着に生まれ変わります。

  

 

お嬢様の振り袖は、本当に素敵♡

このまま2度と着ないのはもったいないですものね。

 

あっ!ちょっと待って!

 

”でも、女のお子様がお生まれになるかもしれないので、少しお待ちになった方が、、、”

 

あっ!

言い過ぎた

 

親でも、子どもはどうするの?なんて聞いたらいけない今の時代

担当仲居さんというだけで、親戚のおばさんでもないのに、いかにも出過ぎです。

 

"すみません。出過ぎたことを申しました。

私、着物が好きで、お嬢様が、袖を短くしても、このお着物をお召しなりたいってお気持ちが嬉しくて、いろいろ申し上げてしまいました。

お許しください”

 

ありがたいことに

”ああ、全然ですぅ”

”そうだね。女の子が生まれたら着せたいよねぇ”

と、おっしゃって下さったので、ほっと致しました。

 

その他にも

あさわざ(焼酎)のロックを氷多めで!というお父様のご要望に、氷を入れすぎ、

次のご注文では、氷は普通でいいですと言われました。

 

”あっ、氷が鼻に当たっちゃいましたか?”

 

"大丈夫、大丈夫、でも、今度は普通で”

 

当たっちゃって、、、飲みずらかったんですね、、、

 

なんて、こんな感じでしたのに

お帰りに、お婿さんから

"楽しかったです” 

と、おっしゃって頂きました。

 

"私の方こそ、お客様に恵まれて、ありがたいことでございます”

 

 

相性のよいお客様で、良かったです。