お客様がお帰りになるときは、余程のことが無い限り、お見送りをしています。
”ありがとうございました”
"ごちそうさまでした”
”ありがとうございました”
"お世話になりました”
が、一般的
お客様が笑顔でお帰りになったら、ほっと致します。
先日
”ありがとうございました”
と、頭を下げますと
"楽しかったです”
と、おっしゃって頂きました。
とっても、とっても、と~~~~~っても嬉しかったです。
いつも同じ気持ちで接客をしています。
ご両家お顔合わせの場合は、緊張なさっているお婿さんの応援団長の気持ちです。
でも、この気持ちが通じる事もありますし、空回りしてしまうこともあります。
お若いカップルが、素敵だなぁ~可愛らしいなぁ~と、こちらの気持ちが膨らみすぎると、失敗することもございます。
9月1日(日)は大安ということもあってでしょうか、お顔合わせのお客様が3組ございました。
私が担当させて頂いたお客様は、華やかな振り袖をお召しになっていらっしゃいました。
そうね。結婚されたら、振り袖をお召しになる機会は無くなりますものね。
その美しいお姿を未来のご主人様にご覧頂くというよりも、そのご衣装を揃えて下さったご両親様に、もう一度お見せするということに意味がありますね。
お嬢様は、そのお着物がお気に入りのご様子で、
"留め袖っていうけどぉ~この袖、この辺から短くして着られるのかなぁ?”
と、お婿さんとお話しされています。
ここ!口、挟んじゃいますよね。
"お嬢様、留め袖の本来の意味をご存じでいらっしゃいますね。
普通、留め袖と言いますと、結婚式の時に、お母様方がお召しになる黒留め袖を指しますが、本来はおっしゃった通りの意味でございます”
さらに、調子にのりました。
”振り袖にも、色々な柄がございまして、いかにもここで、、、”
危ない!
切るという言葉を使いそうになってしまいました。
落ち着いて
”ここで、、、留めるという感じに、お袖の柄が離れているデザインもございますが、振り袖としての華やかさは、お嬢様がお召しの総柄の方が断然上でございます。
私も、気にせず、訪問着に直しましたが、大丈夫でございました”
何を言っているかというと、
例えば
このように、お袖全体に柄が広がっていますと、
柄の途中で、袖をつめることになります。
が、
このタイプの柄ですと、袖をつめても柄が切れないので
元は振り袖だったと、何方も気付かない感じの訪問着に生まれ変わります。
お嬢様の振り袖は、本当に素敵♡
このまま2度と着ないのはもったいないですものね。
あっ!ちょっと待って!
”でも、女のお子様がお生まれになるかもしれないので、少しお待ちになった方が、、、”
あっ!
言い過ぎた
親でも、子どもはどうするの?なんて聞いたらいけない今の時代
担当仲居さんというだけで、親戚のおばさんでもないのに、いかにも出過ぎです。
"すみません。出過ぎたことを申しました。
私、着物が好きで、お嬢様が、袖を短くしても、このお着物をお召しなりたいってお気持ちが嬉しくて、いろいろ申し上げてしまいました。
お許しください”
ありがたいことに
”ああ、全然ですぅ”
”そうだね。女の子が生まれたら着せたいよねぇ”
と、おっしゃって下さったので、ほっと致しました。
その他にも
あさわざ(焼酎)のロックを氷多めで!というお父様のご要望に、氷を入れすぎ、
次のご注文では、氷は普通でいいですと言われました。
”あっ、氷が鼻に当たっちゃいましたか?”
"大丈夫、大丈夫、でも、今度は普通で”
当たっちゃって、、、飲みずらかったんですね、、、
なんて、こんな感じでしたのに
お帰りに、お婿さんから
"楽しかったです”
と、おっしゃって頂きました。
"私の方こそ、お客様に恵まれて、ありがたいことでございます”
相性のよいお客様で、良かったです。