この事実を知ったのは、今年です。
半世紀を超えて私の知らなかった事実。
少なからず、私にとってはショックでした。
毎週、母のお見舞いに行くのを約束に、伯母の家に行った私です。
私よりも一つ小さい女の子Yちゃんと、その下に男の子T君がいました。
私の従兄弟たちです。
私は二人のお姉ちゃんになりました。
T君は、本当のお姉さんのYちゃんよりも私を慕ってくれていたと思います。
伯母は、Yちゃんと私にお揃いでワンピースを作ってくれたり、
授業参観も、従妹のクラスと掛け持ちで、私のクラスにも来てくれました。
ただ、群馬の叔父の家は、物心が付いた時から住んでいた自分の家だったのですが、伯母の家を自分の家とは思えませんでした。
ずっと、親戚の家に泊まりにきているといった感じでした。
~~~ 時は流れて ~~~
数年前、法事で親戚の人たちが集まった時のことです。
伯母の長男のTくん(すでに立派な大人になっています)が、言ったのです。
”〇〇叔父さんは、しばらく家で面倒をみてたから、、、”
私が叔母の家を出て、母と暮らすようになった後、今度は、義伯父の弟さんが居候をしていたらしいのです。
話の流れから、T君は、〇〇叔父さんが、今、何かと良くして下さるのは当然!と思っているようでした。
私は、その言葉がずっと気になっていました。
この夏、母と晩酌をしていたら、叔母の家の話になりました。
私が
”Tくんは、私のことも〇〇叔父さんと同じように、家で面倒を見ていたって思っているんだろうね。何かしてくれても当然だって”
と、言いましたら
母が
”お前が、気にすることではないよ。
確かに、伯母ちゃんの家でお世話になっていたけれど、お母さんは、お前の食費として月に2万円。その他、お前を連れてお見舞いに来てくれる度に、おばちゃんには1万円渡してた”
驚きました。
入院中の母から?
お金取っていたの?
小料理屋さんで働いていた母です。
会社員と違って、休んでいたら収入もないんです。
収入が無くても、借りているアパート代も支払わなければならなかったのです。
義伯父は、電鉄会社に勤めていたので、その頃は家族定期(?)というものがあって、社員の家族は電車代がタダでした。
伯母は、ちゃっかり私も便乗させていたので、交通費は0で母のお見舞いに行けました。
母の支払った1万円は、交通費ではなく、伯母のその日の日当のようなものです。
”おばちゃんが出せって言ったわけじゃないよ。お母さんが、お前が肩身が狭くないように、良くしてもらえるようにと思って渡してただけだから”
でも、おばちゃん、もらっちゃったんだよね。
伯母は、私にとっても血の濃い間柄。
入院中の未亡人の妹からお金を受け取ってしまう、そんな伯母が姪として淋しかったです。
毎週、お見舞いに連れて行く!の約束も、今週は行けないということもあって
その度に、連れて行って!って強請っていた私。
その度に、母にお金を出させることになっていたとは、、、
母は、このことをずっと私に黙っていました。
私にとって耳障りの悪いことは、母は話さなかったのですね。
他にもあるかも、、、
数年前に伯母は亡くなりました。
怪我をして入院したら、認知症のようになってしまいました。
お年寄りのアルアルらしいです。
話もしない状態だったのですが、私がお見舞いに行くと、にっこりと笑ってくれました。
T君が
”おふくろ、嬉しそうだね”
って言うほど、他の人のお見舞いとは違う笑顔だったようです。
葬儀の時、伯母のお隣の奥様が
”東京の姪御さんですか?良くあなたの事、話していましたよ”
と、声をかけて下さいました。
私が贈ったハンドバックとか、簡単に食べられるレトルトのおかずとか、喜んでくれていたそうです。
そんなに喜んでいたって、その時、初めて知りました。