人形作家の高橋まゆみさんをご存じですか?
長野県飯山市にお住まいの方で、農家にお嫁にいらして、農業をなさりながら人形の創作もなさっていらっしゃいます。
随分と前のことになりますが、偶然見た<徹子の部屋>に、高橋まゆみさんが出演なさっていました。
存じ上げない方だったのですが、画面に映ったお人形たちに、母も私も釘付けになりました。
群馬の片田舎に育った私ども母娘にとりましては、郷愁がとまりません。
可愛がってくれた、おじいちゃん、おばあちゃん、ご近所のおばさん、そして、幼い頃の私がそこにはいました。
番組の中で、江戸東京博物館で展示会をなさると伺ったので、母と行ってまいりました。
今にも動き出しそうな、じゃべり出しそうな、表情豊かなお人形たち。
ところどころ壊れている木の塀
餅つきの臼、杵
映画のワンシーンのようです。
腰の曲がったおばあちゃん!
”これ、おばあやんだね、おばあやんそっくり!”
母とはしゃいで見学しておりました。
他の見学者も、皆さん同じように楽しそうにお話なさりながら回っていらっしゃいました。
ある、お人形の前に来た時、涙があふれてきました。
おじいやんです。
私を可愛がってくれたおじいやんです。
私が3歳の時に亡くなっています。
多くの記憶があるわけではないのです。
今となっては、覚えていると認識出来ない、脳の奥の奥の記憶が刺激されたのでしょうか。
私もどうして泣いているのかわからないのです。
なのに、涙はあとからあとから溢れてきました。
”私、なんで泣いてるんだろう?変なのぉ。”
泣きながら笑いました。
”おじいやんに似てるね。” と母。
10年ほど前に、飯山に <高橋まゆみ人形館> がオープンしました。
残念ながら、まだ伺えておりません。
高橋まゆみさんは、お人形を手放すことをなさいません。
そこに伺えば、あのお人形さんたちに逢えるのです。
コロナ後の楽しみに致しましょう。