私は、大学を卒業して、2年ほどOLをしておりましたが、その後は母のお店を手伝っておりました。
OLは勤まりませんでした。
お局さんみたいな大先輩に意地悪されるかもなどと言う世間の噂はとんでもないです。
優しい先輩方ばかりで、随分ホローもして下さいました。
私の仕事が遅くて時間がかかってしまっているのに、”ちゃんと残業付けてあげて下さいね” とまで上司に言って下さる先輩もいました。
そんなに良くして頂いているのに、なぜか登校拒否のように、出勤時には体調が悪くなりました。
出勤してしまえば、けっこう楽しく時間を過ごしておりましたのに、自分でも不思議です。
会社のお役に立たないので辞めようと決心し、上司に申し出たら、まさかの引き留め。
定着率が悪くなるのが上司としては嫌だったのでしょう。
思いもしない引き留めに、つい、”母の通院の付き添いがありまして、、、” などと言い訳をしてしまいました。
私自身は、体調が悪く、有休を使い果たしておりますが、出社時は元気なので、そこを理由にするのは難しかったのです。
定着率キャンペーン中(たぶん)だった上司は、”どのくらいの頻度で通院するの?” と更にお尋ねになって、こちらは冷や汗もので、その後の問答は良く覚えていません。
”辞めたい” と言ったら、”あっそっ” と言われると思っていました。
でも、それだったら、すごく淋しい記憶になっていたと思います。
あの時は、言い訳で大変でしたが、今はそれもクスッと笑える思い出になっています。
引き留めて下さったことに感謝しています。
在籍中も、辞める時もご迷惑をかけてすみませんでした。
その後は、新橋の母の店で、お父さんのようなお客様に、ママの娘ということで優しくして頂いて楽しく働いておりました。
電車で母と店に出る時に会社の方と同じ車両に乗り合わせたことがありました。
会釈で済むかと思いきや、お席を立って、こちらへ向かっていらしたときは、母に ”具合悪そうにして” と耳打ちしました。
”お母様いかがですか?” と会社の方
”お陰様で何とか” と母。
母が女子高時代演劇部で助かりました。
母の店は、お客様に恵まれて、長く続けてきましたが、母の乳癌と、ビルの建て替えのための立ち退きの話が同時にきて、楽しいお仕事ではありますが、潮時だとの神様からのお知らせだと感じ廃業致しました。
12月5日に母の手術。
一週間足らずの入院でしたが、店は半月閉めました。
家賃その他、営業日数とは関係なく掛かるものがあります。
今後、母の再発の心配もある中、別の店舗を探すという選択肢は無くなりました。
前置きが長くなりましたが、少しは働かなければ!ということになり、お運びさんでもしようかなと思った訳です。
初日。何をしたら良いかわかりません。
先輩にお尋ねしたら、マネージャーさん(女性)に ”○○さんに何をしてもらったら良いですか?”と聞いて下さいました。
マネージャーさんがおっしゃったのは
”床でもふかしといて” でした。
ビシッと言われて良かったと思います。
そうか、他人様の下で働くって、こういうことなんだと、腹が決まりました。
私としては、あの時のこの言葉に感謝すらしているのですが、さすがに母には言えませんでした。
誰でも、誰かの大切な子どもであり、あるいは、誰かの大切な親御さんであり、また、誰かがこよなく愛している恋人であったりするわけです。
目の前の人は、誰かの大切な人と思ってお話をしようと、それ以来は心がけるようにしています。