一本持っていると便利だといわれる博多帯。
確かに、あのキュとした締め心地と、独特な張りは、とても魅力的で、私も大好きです。
博多献上と呼ばれるのは、黒田長政が江戸幕府への献上品としたからです。
その品の素晴らしさから全国区になり、現代も、帯として特別な位置にあるのだと思います。
力士も、十両以上にならないと博多帯を締めることを許されないといいます。
博多帯といって誰もが思い浮かべるのは、このような柄だと思います。
これは、献上柄と呼ばれています。
ただ単に伝統的な柄というだけではなく、色々な願いがこめられています。
左から、<親子縞>
太い線が親、細い線が子を表わし、親が子を包み込み守っている様子を表現しています。つまりは 家内安全。
次にあるのが<華皿>
仏を供養するときに花を散布するための器を表わしています。
次の縞は、<孝行縞>
親子縞とは逆の配置で、親から子へ広がっている様子を表わしています。つまりは、子孫繁栄です。
真ん中は、<独鈷(とっこ)>
煩悩を打ち砕くという、密教の法具を表わしています。厄除けです。
見慣れた柄にも、深い意味があるのですね。
一般的に、博多帯は一年中、どんな着物にも締められると言われますが、単衣の博多帯には、カジュアルなイメージを持つ方も多くいらっしゃいます。
このブログを始めた大きな理由の一つに、<母(おばあちゃん)の知恵袋>をメモしておきたい!ということがありました。
私は、母の着物の知識&センスを誰よりも信頼しています。
長い着物の生活と、知的好奇心が強く、読書家でもある母。
ハクビで教授の資格も取りましたし、もちろん、和裁も出来ます。
その母が、”博多帯は浴衣帯だから” などと申します。
そういえば、茶道の先生も浴衣には、博多帯を締めていらっしゃいました。
芸者さんが、黒の裾引きに博多帯を締めている姿を思い浮かべる方も多いと思いますが、それは、芯をいれて、袋帯に仕立ててあります。
単衣の帯ではないのです。
普通、博多帯は単衣の帯ですが、裏が付いていないというよりも、あれだけの張りがあれば、単衣でも十分にしっかりしているので、裏を付ける必要もないということかもしれません。
一年中締められる帯というのも頷けます。
ただ、母は、”袷には袷の(裏の付いている)帯をしてほしいのよね” と言いますので、我が家では、博多帯は単衣の着物に合わせることが多いです。
博多帯は、軽くて、締めやすく、しかも丈夫です。
趣味のお着物に普段使いするのが、私のお勧めです。
訪問着や付下げには、もっとお似合いのものが見つかるような気がします。
例えば、初めて、訪問着を作るとしたら、それに合わせて、帯も揃えることになると思うのですが、そのときに、呉服屋さんに勧められるのは、きっと袋帯でしょう。
次に、小紋も欲しい、紬もいいわぁとなったときに、博多帯が1本あると便利です。
博多帯には、献上柄の他にも色々なものがあります。
半幅の帯は、普通は帯締めをしないので、締めたときに、ゆるんでこない博多帯の良さが、より解かります。
伝統の献上柄に+α な感じの帯もあります。
縞や柄の物もあります。
盛夏用の物もあります。
これは紗ですが、絽の博多帯もあります。