お宮参りのお帰りに、私のバイト先で、お食い初めをなさる方がいらっしゃいます。
赤ちゃんが、一生食べる物に困らないようにという願いが込められています。
お食い初めのお膳には、歯固めの石がご用意してあります。
どうしても、鯛の姿焼きに目が行きますが、肝心なのは、この歯固めの石です。
丈夫な歯が生えてくるように願いながら、この石を歯茎に付ける真似をするのです。
お食い初めでは、赤ちゃんを抱いて食べる真似をさせる訳ですが、問題は、その重要なお役である養い親を誰がするかです。
お客様がお尋ねになった場合は、
”地方によっても色々違いがあるようですが、男の子にはお祖父様が、女の子にはお祖母様がなさることが多い様に聞いております”
の、あとに
”でも、皆さんで交代になさって、お写真を撮られるのもよろしいかと思いますが、、、”
と付け加えています。
先日担当させて頂いたのは、初孫さんのお食い初めです。
もう、皆さんがお幸せそうです。
無事に儀式が済むと、主役のお嬢様はすやすやとお休みになりました。
その間に若いお母様も、お食事を楽しむことが出来ます。
親孝行な赤ちゃんです。
ところが、あまり大人しく寝ていると、お祖父母様方は、少し淋しそうなご様子です。
しばらくして、お嬢様がお目覚めになって、ふにゃぁ~ふにゃぁ~と可愛らしく泣いて、ミルクの時間になりました。
ご機嫌よくミルクを飲んでいるご様子は、本当に天使です。
ところが、やっと目覚めたお孫さんに触れたくて、我慢の出来ないお祖父様が、手や頬を指で触るものですから、
ふんぐぅ~と、先ほどのふにゃぁ~とは明らかに違う抗議のお声!
”あっ怒られた” と、お祖父様。
”今、お嬢様は生きることに必死でございますので” と私が申しますと、
お祖母様が
”そうよ!” と。
お祖父様も
”確かに、そうだな” と。
どこまでも微笑ましいお席でございました。