蝶の柄が大好き!という方、大勢いらっしゃいます。
私もその中の一人です。
優美な図案には違いないのですが、蝶独特のイメージが様々なので、着物の柄をご覧になった相手様がどんな印象を持たれるかが気になります。
お茶事やお茶会をする場合、その季節に相応しいお道具を揃えて、お客様に楽しんで頂くことが多いですが、特別なテーマ(趣向)があることがあります。
お盆の時期などに、偲ぶ会として行うような場合、お軸は<夢>をよく目にします。
人生は夢のごとし というところからだと思います。
秀吉も
露と落ち 露と消えにし わが身かな 浪速のことも 夢のまた夢
と詠んで逝ったとか、、、(大河ドラマでよくあるシーン)
そして
お道具のどこかに蝶が使われることが、実に多いのです。
蝶には亡くなった方の魂が宿ると言われます。
蝶になって逢いに来てくれた。
蝶に化身されたとしても、おそばにいられるだけで嬉しいと感じます。
でも、このことが、蝶に死のイメージを漂わせてしまいます。
ひらひらと、花から花へと飛んでいく蝶の姿は美しいのですが、浮気者という印象も生まれます。
結婚式に出席するお着物には避けた方が良いとまでおっしゃる方もおいでになります。
一方で、幼虫からさなぎになって、やがては、それまでの姿からは想像も出来ないほどの美しい成虫となる蝶は、輪廻転生や復活、長寿の象徴ともなっています。
家紋にも蝶が使われる理由はそこにあります。
不死・不滅のイメージが特に武士には好まれ、平清盛の家紋が、上の<丸にあげは蝶>です。
その後も、平家の流れをくむ(もしくは平家の末裔であると主張する)武士たちが好んで蝶の家紋を使いました。
中国では、蝶の発音が老年を意味する言葉と同じだということで、長寿につながると言われています。
また、花を慕う蝶は、愛情あふれる円満な夫婦にも例えられます。
このように蝶には、様々なイメージがあふれているのですが、春から初夏の蝶は、花のように、季節を代表する物としてとらえて頂けます。
気を使わずに蝶の柄を楽しむのは、今!なのです。