母と私の着物ぐらし

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my茶室!~自宅で楽しむ茶事

 何事も長続きをしない私ではありますが、お茶だけは続いております。

元々は、母からお茶か、お花か、どちらかを習いなさいと言われ、では、取り合えず、お茶を!と決めて、確か、本屋さんの2階でお茶のお教室をしてるみたいよね と、母に付き添われ、飛び込みで入門致しました。

 先生には襖の開け方から教えて頂きました。

 私は初孫で祖父母に溺愛されました。幸せな思い出がたくさん有る反面、年寄りっ子三文安という言葉は当たっていると自身でも感じています。何でもいいわいいわで育ったようです。お箸の持ち方も変でした。箸使いがちゃんとしていないと、炭手前で炭が上手に掴めません。先生の丁寧なご指導で改まりました。

 先生には物足りない弟子であったと思います。いつでしたか、お稽古に伺うと、まあ座りなさいとおっしゃってご注意が色々と、、、。〆のお言葉が、”あなた方(私ひとりではなく、妹弟子も一緒でした)のような人は、おっとりしているというのではありません。ぼーっとしていてはいけません”。 先生も、今日は言わなければと思われたのでしょう。お床には ”  ” が下がっていました。こんな私をお見捨てなさらずご指導下さった先生には、心から感謝しております。

 

 利休様は茶の湯とは、お湯を沸かして、お茶を点てて飲むだけとおっしゃいます。これが、なかなかに奥の深いものでございます。覚えなければならないことも沢山ありますが、それよりも、覚えたいこと、知りたいことがエンドレスです。

 また、社中の方々が本当にいい方ばかりで、お会いできるのがお稽古に通う楽しみでもありました。お着物や帯を頂戴するほど可愛がって頂きました。お茶のお稽古での出会いは私の宝物です。

 

 我が家をリフォームしたときに、炉を切ってもらい、my茶室を持つことが出来ました。といっても、我が家の和室は六畳です。この六畳のどこに炉を切ったら良いか、それは大問題でした。

 お茶道具屋さんの奥様に相談してもみたのですが、”お茶室は、四畳半か八畳で、六畳はないわね” と、意外にクールな反応。私のような庶民からお茶室の相談をされたことなんてなかったのでしょう。

 それは、私だって八畳あったらいいなとは思います。普通に花月だって出来ますもの。でも、我が家には六畳しかないんです。広げようにも庭もない。

 いえいえ、しかないって発想は悲しいですね。考え方を変えました。六畳があるのです。当然のことながら四畳半より広い。

 お茶室の基本が四畳半ならば、六畳は、その四畳半にさらに一畳半が付いた、ちょっと余裕のお茶室ということになります。

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my茶室は、回り茶道口で、踏み込み畳が半畳。点前座の先に、もう半畳あるという造りです。亭主床っぽくなりました。

 

リフォームの際に大工さんからも畳屋さんからも、半畳が2つあるのは変だと言われましたが、先生には、よく考えたわねと言って頂きました。
 

大工さんは、お人柄は申し分ないのですが、茶室など作ったことのない方で、私が本を見ながら色々とお願いしなければなりませんでした。

炉縁と畳は面一!というのもなかなか分かって頂けないで困りました。

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確かに、母の実家の囲炉裏も、囲いの木の部分は高くなっていました。大工さんのイメージはそれだったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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無双釘も、柳釘も私がお茶道具屋さんで買ってきて、打つ位置も私が決めました。

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 未だに一度も使ったことのない柳釘ではありますが、在ると無いとでは私の気分が大分違うのです。

 

大変だった分、愛着もひとしおのmy茶室です。

 

 寄付は、リビングを使います。

サイドボードの上の一部を床と見立て、襖の前に薄縁を敷いて、席入りをして頂きます。

露地も蹲もありませんが、おしぼりをお出しすることでお許し頂いております。

 

 お席開きからしばらくは、近くのお料理屋さんからお弁当を取っておりましたが、今は、懐石にも挑戦しています。煮物椀の海老真丈がふわふわに仕上がらず、お客様に ”箸が折れそう” と笑われたこともありました。近頃は安定してきたとのご評価を頂いております。先日のかぶら蒸しはお褒めの言葉を頂戴致しました。

 お茶事の全てのことが楽しいです。

先ずは、趣向を考える。道具組をする。献立を決める。

茶事の楽しみは、亭主七分の客三分と言いますが、実感しております。

 

 茶の湯は釜一つあれば出来るとは利休様のお言葉ですが、お茶事でなくてはならないのはお客様の存在です。只今、私のお茶事にお付き合い下さる方々は、社中の方ではなく、母と二人で新橋で店をしていた時のお客様です。お茶を習っていた方がお一人(偶然私と同じ裏千家でした)。奥様やご子息がお茶をなさっている方がお一人。他の方は、興味が無くもないくらいのスタートでしたが、今は、薄茶では交代でお点前をして下さるまでになりました。白いソックスも御持参なさいます。

 お正客を始め、席順は花月札で決めています。花月札の扱いにも慣れて頂いて、お薄は四畳半花月でするのが近々の目標です。

 大事な休日に遠方からお出で下さるお客様には、心からありがとうございますと申し上げたいです。そして、これからもよろしくお願い致します。