~お客様と共にブルーインパレスを追いかける
開店の準備もほぼ済んだころ、お隣のフレンチのシェフと、うちの黒服さんが何やらお話をしています。
何かが来るとか、、、
先ごろ、衛生検査と、消防検査を済ませたところです。
現状の確認ではありますが、それなりに気を使います。
いつもより念入りにお掃除したりするのは、検査官への礼儀と心得ます。
”何が来るんですか?”
”ブルーインパレスがスカイツリーの近くを飛ぶらしいよ”
ブルーインパレス!
医療従事者を応援するために飛んで、感動で泣いている方もいらっしゃったのをニュースで見ました。
綺麗に並んで飛ぶのもすごい技術だと聞いています。
お互いを信じて、ご自身も正確に飛ばないと、とても危険なのだそうです。
見たい!です!
黒服さんが、コースと時間を調べて下さって、どうやら、スカイツリーには往復通るらしいことがわかりました。
何というラッキー!
しかも、週に2日しか出ていない私の出勤の日に飛んでくれるなんて!!!
フリーの男性お一人が見えました。
ブルーインパレスが飛ぶ事、この店が特等席であろう事、お伝えしました。
でも、そのお客様はお時間の都合で、ご覧にならずにお帰りになりました。
残念です。
その後、若い女性のお客様がお一人でご来店下さいました。
”今日は、ブルーインパレスがスカイツリーの近くを飛ぶようでございます。お時間が許すようでしたら、是非、ご覧になって下さい”
”ああ、開会式ですね。狙って来た訳ではないのですが、ここは特等席という訳ですね”
”はい。お客様の日ごろの行いだと存じます。私も、毎日出ているわけではないのですが、たまたま今日が出番で”
ここで、つかさず、
”日ごろの行いですね“ と、おっしゃって頂きました。
しかしながら、この特等席に他にお客様がいらっしゃらないのが実にもったいないです。
見下ろしますと、橋の上や、デパートの屋上やら、隅田公園に人があふれています。
そのお客様と、”下の方々、暑そうですね” などと余裕でお話させて頂いて、黒服さんが書いてくれた簡単な地図と、コースを確認して準備万端です。
新国立競技場の上で五輪のマークを描くとしたら、遠く都庁も望める特別室からでしたら、それも見えるかもしれません。
そろそろという時刻には、普段ではありえないのですが、板場からも見学に出てきて皆で待っておりました。
“おっ来た!”
”えっどこどこ?”
”ほら!あそこ!”
思ったよりも、小さいです。
余程高い位置を飛んでいるのでしょう。
でも、綺麗に並んでいます。感動致します。
スタッフ一同、ブルーインパレスを追って、ホールを移動し、特別室へ向かいます。
私は、途中でお客様にお声をかけて
”どうぞ、よろしければご一緒に参りましょう”
”はい!”
特別室からは、初め、5色の煙(?)を出しながら上昇したところと、戻ってきて、5輪を描いているらしきところを見ることが出来ました。
その後、雲が多かったためか、皆で見失ったのですが、隅田区は快晴でしたので、スカイツリーに向かってくるところを見つけました。
スカイツリーを通り過ぎる時は、白い煙(???)が出て、青空に映えていました。
着席されたお客様に、”お疲れ様でした” とお茶を差し替えさせて頂きました。
”あちらのお部屋は貸し切りのお部屋ですか?”
”はい。反対側にも、お部屋がございます。何かの折にはお使いくださいませ”
”はい!”
可愛らしいお嬢様です。
お祝いのお席でお目にかかれますように。