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仲居さん日記29~小さなお嬢様にお許し頂く

私のバイト先は、東京の桜の名所の近くにあります。

というか、眼下にその桜を眺めながらお食事を楽しむことが出来ます。

 

さすがに、コロナ対策で、以前よりもお席は減らしていますが、先週末は満席という賑わいでした。

お断りしたお客様もいらして、あんなに暇な日が続いたことを思いますと、申し訳ないやら、残念やら、、、

 

そんな日に、親子3代でお部屋をご予約下さったお客様の担当をさせて頂きました。

 

ご夫婦のそれぞれのご両親様と、お子様お二人です。

4歳くらいのお嬢様と、まだ這い這いの坊ちゃまです。

 

バイト先では、お子様弁当を2段の物と、1段の物と、2種類ございますが予約制です。

当日お受けできるのは、おうどんと、天丼や親子丼をお子様のためには特別に単品でお作りしております。

 

コロナ禍で、平日、土日の区別なく暇でしたので、少しでもお客様に入って頂くために以前は平日に限ったメニューも土日にもお出しておりました。

 

ただ、板場も人数を減らしておりますし、そろそろ丼物は平日のみにしたいとは伺っておりました。

でも、以前は、平日限定の丼もお子様のためには土日もお作りしていました。

 

ここを、ちゃんと確かめておかなかった私のミスです。

 

お嬢様に、親子丼をお受けしてしまいました。

 

板場に通したら、却下されてしまい、”お子様のためにもだめですか?”と少しごねてみたのですが、無理でした。

 

さあ、大変。

謝って、おうどんにして頂かなければなりません。

自分の事として考えて、親子丼の口になっているところに、おうどんって、ちょっとどうなのぉ~~~~~です。

 

まず、お母様に、本日桜のお陰で満席のため、親子丼はお受けできないことを謝りました。

お嬢様にも、

”ごめんなさい。親子丼はお作りできないの。おうどんでもいいですか?”

 

ーーーんんん、苦しい。親子丼とおうどん、違いすぎっ!

ーーーやだー親子丼が食べたい!って泣く?泣いちゃう?私が泣かせちゃうの?

 

          

 

”いいよ。”とお嬢様がおっしゃいました。

 

私が立っていらっしゃるお嬢様の前でしゃがんだので、視線が少しだけお嬢様の方が上でしたでしょうか。

 

知らないおばさんが、ママに謝ってるし、何か困っている感じ、、、

”いいよぉ~大丈夫だよぉ~”って感じの優しい ”いいよ” でした。

 

下に弟さんがいらしゃるので、小さくてもお姉様だからなのかもしれません。

 

お母様の方もあっさりと

”じゃ、暖かいおうどんをお願いしま~す。”

 

ーーーありがとうございます。ほっと致しました。

 

とてもお元気でお可愛らしい下の坊ちゃんは、襖が開くと、お部屋の外へ 高速で這い這いなさいます。

入り口には段差もございますので、慌てて抱っこさせて頂きました。

コロナ禍では、お子様方には触れないように心がけておりますが、とっさのっことでございました。

 

それに対しましても

”すみませ~ん。ありがとうございます。”

どこまでも大らかなお人柄のご家族様で助かりました。

 

行く手を阻まれた坊ちゃんもご機嫌が悪くなることも無く、襖が開く度に果敢にチャレンジなさってました。