~ 男の子3兄弟
末の坊ちゃんの七五三のお祝い
以前は、店長か社員さんから、誰は何処と、担当を決められておりましたが、今の黒服さんは何もおっしゃらないので、仲居さん同士で相談して決めています。
一年半ぶりに予約で満席の日でした。
コロナに配慮して、空間を十分とって営業させて頂いておりますので、以前よりはテーブル数は減らしています。
とはいえ、忙しいのは目に見えています。
私は、テキパキと一度に色々とこなせるタイプの人間ではないので、せめて、配膳が立ったり座ったりと大変な和室を志願いたしました。
大人4名子ども3名、七五三のお祝いのお席です。
羽織袴の可愛らしい坊ちゃんが、お母様に手を引かれてご来店です。
大人4名様は、ご両親と、お祖父様、お祖母様です。
まあ、そうですね。多いパターンです。
お子様は、おおお、袴姿の本日の主人公の他にも、お兄ちゃまがお二人。
男子3兄弟。迫力あります。
先ずは、記念撮影。
カメラを覗かせて頂きますと、あらあら、お祖父様のハンガーに掛けた上着が写ってしまいます。
外させて頂きました。
気を取り直して ”はい”
おっと、隣の空のハンガーも写ります。
こういうところを、一度に処理できない私の悪い所です。
”すみません。何度も”
”はい!チーズ!念のため、何枚か撮らせて下さいませ。はい!チーズ!”
大変、私が手間取っている間に、主人公の坊ちゃんが疲れてきたのか、お顔がご機嫌悪くなってしまいました。
”申し訳ありません。坊ちゃんがお疲れになってしまわれましたね”
”ああ、そうだね。もう、脱がせよう。早く脱がせよう”
お召し替えのようです。
お飲み物をお持ちしたときは、坊ちゃんは白いTシャツ姿になられていて、スッキリなさったのか、ご機嫌も直っていました。
ふと見ると、足元は足袋のままです。
このアンバランスが、また可愛らしいです。
子ども用の足袋は、こはぜも無く、二股の靴下という感じです。
”おばさんとお揃いですね”
距離が縮まりました。
その後は、廊下でお隣のお部屋の配膳の準備をしている私をごらんになって、手を振って下さいました。
色白で可愛い坊ちゃんです。怪獣のフギュアのようなものをお持ちなのですが、女の子のお人形遊びの風情です。
男の子お三人で、どんなに動き回るかと心配しましたが、お兄ちゃま方も大人しくお食事なさっています。
配膳がしやすくてありがたいです。
途中、下のお二人をご両親がお手洗いに連れていかれ、お部屋には、お祖父様とお祖母さまと上の坊ちゃんが残りました。
”〇〇くぅん、今日は、どうしておじいちゃんの隣に座らなかったんだぁ?”
お祖父様が、少しすねた感じでお尋ねになりました。
上の坊ちゃんは、お祖母様とお母様の間に座っておられます。
中の坊ちゃんがお祖父様とお父様の間、主役の坊ちゃんは、いわゆる議長席です。
”なりゆきよねぇ” と、お祖母様。
”いつも、おじいちゃんの隣!って言ってくれるのにぃ、、、”
とても淋しそうなお祖父様。
今日は、御自分がお隣に座っていらっしゃるお祖母様は、強気で続けます。
”おじいちゃんは、顔とかしつこく触るから嫌なのよねぇ”
”こちらが、初孫さんでいらっしゃいますか?”
”そうなんです。可愛くて”
”可愛いと、ついつい触りたくなってしまいますよね。わかります。
坊ちゃん! 初孫って、とてもラッキーなんですよ。
みなさんが、初孫は特別に可愛いとおっしゃいます”
”はい” とお答えになる上の坊ちゃんは9歳か10歳。
下に弟さんが出来ると、ちゃんとお兄さんになるのですね。
”男のお子様お三人ですと、一族安泰って感じが致しますね”
”でも、母親にとっては、やはり、娘なのよね。〇〇ちゃんは、もう一人産む気があるのかしら?”
ここは、お嫁さんが御留守だからの会話です。
”お兄様が3人いるお嬢様というのもいいですね。羨ましいです”
”そうか、そういう考え方ね。なるほど、面白い” とお祖父様。
”まあ、なりゆきですね” とお祖母様。
その後、皆さんが戻られてからも、伺う度に笑いが絶えない楽しいお部屋でした。
”今日の七五三はもそうだけど、俺の古希のお祝いはどうしたんだ?してくれないじゃないか”
”もうぉ、イヤな年寄ね”
お子様にはバニラアイスが付きます。
大人の皆さんのこの日のコースには、栗のアイスクリームとフルーツが付きました。
”〇〇君は、おばあちゃんのデザート食べなさい。◎◎君はおじいちゃんのをもらいなさい”
”わかった。じゃあ、そのバニラと交換だ”
”いやぁだ”
お祖父様は、お孫さんをからかって本当に楽しそうです。
お孫さんって、本当に可愛いものなのですね。
今月、来月と、七五三のご予約が入っているようです。
お子様のお祝いのお席は、お客様皆様がご機嫌が良いのでこちらも楽しいです。