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仲居さん日記38

  ~ 男の子3兄弟

     末の坊ちゃんの七五三のお祝い

 

以前は、店長か社員さんから、誰は何処と、担当を決められておりましたが、今の黒服さんは何もおっしゃらないので、仲居さん同士で相談して決めています。

 

一年半ぶりに予約で満席の日でした。

コロナに配慮して、空間を十分とって営業させて頂いておりますので、以前よりはテーブル数は減らしています。

とはいえ、忙しいのは目に見えています。

 

私は、テキパキと一度に色々とこなせるタイプの人間ではないので、せめて、配膳が立ったり座ったりと大変な和室を志願いたしました。

 

大人4名子ども3名、七五三のお祝いのお席です。

羽織袴の可愛らしい坊ちゃんが、お母様に手を引かれてご来店です。

 

大人4名様は、ご両親と、お祖父様、お祖母様です。

まあ、そうですね。多いパターンです。

お子様は、おおお、袴姿の本日の主人公の他にも、お兄ちゃまがお二人。

男子3兄弟。迫力あります。

 

先ずは、記念撮影。

カメラを覗かせて頂きますと、あらあら、お祖父様のハンガーに掛けた上着が写ってしまいます。

外させて頂きました。

 

気を取り直して ”はい”

おっと、隣の空のハンガーも写ります。

こういうところを、一度に処理できない私の悪い所です。

”すみません。何度も”

 

”はい!チーズ!念のため、何枚か撮らせて下さいませ。はい!チーズ!”

 

大変、私が手間取っている間に、主人公の坊ちゃんが疲れてきたのか、お顔がご機嫌悪くなってしまいました。

 

”申し訳ありません。坊ちゃんがお疲れになってしまわれましたね”

 

”ああ、そうだね。もう、脱がせよう。早く脱がせよう”

お召し替えのようです。

 

お飲み物をお持ちしたときは、坊ちゃんは白いTシャツ姿になられていて、スッキリなさったのか、ご機嫌も直っていました。

 

ふと見ると、足元は足袋のままです。

このアンバランスが、また可愛らしいです。

子ども用の足袋は、こはぜも無く、二股の靴下という感じです。

 

”おばさんとお揃いですね”

距離が縮まりました。

その後は、廊下でお隣のお部屋の配膳の準備をしている私をごらんになって、手を振って下さいました。

色白で可愛い坊ちゃんです。怪獣のフギュアのようなものをお持ちなのですが、女の子のお人形遊びの風情です。

 

男の子お三人で、どんなに動き回るかと心配しましたが、お兄ちゃま方も大人しくお食事なさっています。

配膳がしやすくてありがたいです。

 

途中、下のお二人をご両親がお手洗いに連れていかれ、お部屋には、お祖父様とお祖母さまと上の坊ちゃんが残りました。

 

”〇〇くぅん、今日は、どうしておじいちゃんの隣に座らなかったんだぁ?”

お祖父様が、少しすねた感じでお尋ねになりました。

 

上の坊ちゃんは、お祖母様とお母様の間に座っておられます。

中の坊ちゃんがお祖父様とお父様の間、主役の坊ちゃんは、いわゆる議長席です。

 

”なりゆきよねぇ” と、お祖母様。

 

”いつも、おじいちゃんの隣!って言ってくれるのにぃ、、、”

とても淋しそうなお祖父様。

 

今日は、御自分がお隣に座っていらっしゃるお祖母様は、強気で続けます。

”おじいちゃんは、顔とかしつこく触るから嫌なのよねぇ”

 

”こちらが、初孫さんでいらっしゃいますか?”

 

”そうなんです。可愛くて”

 

”可愛いと、ついつい触りたくなってしまいますよね。わかります。

坊ちゃん! 初孫って、とてもラッキーなんですよ。

みなさんが、初孫は特別に可愛いとおっしゃいます”

 

”はい” とお答えになる上の坊ちゃんは9歳か10歳。

下に弟さんが出来ると、ちゃんとお兄さんになるのですね。

 

”男のお子様お三人ですと、一族安泰って感じが致しますね”

 

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”でも、母親にとっては、やはり、娘なのよね。〇〇ちゃんは、もう一人産む気があるのかしら?”

 

ここは、お嫁さんが御留守だからの会話です。

 

”お兄様が3人いるお嬢様というのもいいですね。羨ましいです”

 

”そうか、そういう考え方ね。なるほど、面白い” とお祖父様。

 

”まあ、なりゆきですね” とお祖母様。

 

その後、皆さんが戻られてからも、伺う度に笑いが絶えない楽しいお部屋でした。

 

”今日の七五三はもそうだけど、俺の古希のお祝いはどうしたんだ?してくれないじゃないか”

 

”もうぉ、イヤな年寄ね”

 

お子様にはバニラアイスが付きます。

大人の皆さんのこの日のコースには、栗のアイスクリームとフルーツが付きました。

 

”〇〇君は、おばあちゃんのデザート食べなさい。◎◎君はおじいちゃんのをもらいなさい”

 

”わかった。じゃあ、そのバニラと交換だ”

”いやぁだ”

 

お祖父様は、お孫さんをからかって本当に楽しそうです。

お孫さんって、本当に可愛いものなのですね。

 

今月、来月と、七五三のご予約が入っているようです。

お子様のお祝いのお席は、お客様皆様がご機嫌が良いのでこちらも楽しいです。