初めて、求めたお軸が、この<雲出明洞中>です。
梅雨明け宣言のような、晴れ晴れした語句です。
この句の前に < 雪消山骨露 ユキキエテサンコツアラワレ >という句があり、対句となっているものです。
雪が消えると、山肌があらわになり、雲が晴れると、洞窟の中まで日が差し込んで明るくなるという意味です。
この雲とは、煩悩のこと。悩み、嫉み、その他もろもろの心の闇が取り払われて、なんのわだかまりもないという境地をあらわしています。
もちろん、禅語ですから、日々修行を積むことで、無心を得て、そういう境地になるという教えでしょう。
でも、時には、自身の力だけではなく、その雲を払ってくれる風に頼ってもよいのではないでしょか。
真面目な頑張り屋さんほど、深い悩みの中に身をおいてしまいがちです。
時には立ち止まって、いい風が吹くのを待つのも生きる知恵のように思います。