松花堂
松花堂弁当ってありますね。
大寄せのお茶会の点心で頂いたり、日本料理屋さんのランチなどでも見かけます。
松花堂は人の名前です。
などと言っている私も、お茶のお稽古のときに、”松花堂、わかってる?お弁当の名前じゃないのよ” と先生がおっしゃって、その日教えて頂くまで知りませんでした。
松花堂昭乗は、石清水八幡宮にあった瀧本坊の住職で、書画や茶の湯に優れ、寛永の三筆と称されています。(他は近衛信伊、本阿弥光悦)
小堀遠州や沢庵和尚とも交流があり、晩年には松花堂という隠居所で風流なくらしをしたということです。
昭乗が、農家で種入れに使われていた箱の内側を十字に仕切った器をもとに、茶会で使う煙草盆や、絵具箱として使っていたものを、後に吉兆の創始者である湯木貞一氏が工夫してお弁当箱としたのが松花堂弁当のルーツです。
確かに4つに区切られたところに、美しく盛られた料理は目でも楽しめます。
箱の他に、お椀と飯椀と香の物、甘味などが付くのが一般的でしょうか。
ちなみに、永谷園という会社がありますが、煎茶の製法を江戸時代に発明した永谷宗円の屋号が<永谷園>で、創始者は永谷宗円の子孫の方です。
助六寿司
助六寿司は、お稲荷さんと海苔巻きが両方入っているのが決まりです。
その理由ご存じですか?
助六とは、歌舞伎十八番の一つ<助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)>
通称<助六>の主人公です。
花川戸の助六は、実は曽我五郎であり、兄の曽我十郎とともに父の仇討をするという物語です。
この助六は、数ある歌舞伎の演目の中でも一番の色男。
黒の紋付に、赤い襦袢、紫の鉢巻きに、黄色い足袋に下駄をはいて、蛇の目を粋に肩にかけたり、掲げて見栄をきったりと、とにかくカッコイイいいのです。
そして、その美男代表の助六の恋人が、吉原の三浦屋の揚巻(あげまき)さんという花魁です。
この女性も美貌と教養を兼ね備えた、まさに二人はお似合いのカップルなのです。
助六寿司に入っているお稲荷さんの揚げと海苔巻きの巻きが、助六の恋人の揚巻さんを想起させるので助六寿司というのです。
楽しい命名ですね。