その1
仲居さんですから、頑張ってお運びしています。
でも、私、あまり重い物は持てないです。
手首が笑っちゃうほど細いのです。
デザートをお出しする前に、お膳を引かせて頂きます。
私が、同席のお客様のお膳を引くのをご覧になっていらしたのでしょう。
そのお客様のお膳を引かせて頂こうとしましたら、”よいしょ” とお声をかけて下さいました。
”ご声援、ありがとうございます”
”いいえ、ご苦労様” と、上品な笑顔をお見せ下さいました。
こういうお優しい方にお逢いできるので、このお仕事は楽しいのです。
その2
御親戚のお集りです。
小さなお嬢様がお二人ご一緒でしたので、話題は<鬼滅の刃>に。
若いお母様方が ”禰豆子の着物の柄って、あれ、何?市松模様は違うよね”
と話しておいでです。
お祖母様もご一緒にいらっしゃるのですが、<鬼滅の刃>自体をご存じありません。
お話の間に入るようで、少し躊躇いたしましたが、お近くまで伺って
”禰豆子ちゃんの着物の柄は<麻の葉>でございます。産着などによく使われる柄でございました” と申し上げました。
”ありがとうございます” と、にっこりなさって、皆様に ”麻の葉だって” と。
おじ様方にも ”さすがに良く知ってるねぇ” と言って頂きました。
すると、<鬼滅の刃>は???のお祖母様でしたが、<麻の葉>は御存じで、 ”麻は丈夫だからね。子どもが丈夫に育つように産着には麻の葉が使われたのよ” と、若いお母様方に説明をなさっておいででした。
その3
バイト先には、一部屋だけ和室がございます。
そこの畳がふる~~~~~くなっています。
赤ちゃんをお連れのお客様にご使用頂くことが多いのに、ささくれた畳がとても気になっていました。
実は、昨年末に畳替えの話がでたのですが、コロナで中断してしまいました。
仕方がないので、和室にご予約がある日は、必死で畳を拭くのです。
雑巾にカスみたいなものが付くのです。
もう、キリがないわって感じです。
和室は私が担当することが多いので、他人ごとでは無いのです。
今朝です!
店長が ”畳替えることにしました!”
”おおお、ありがとうございます!”
思わず、お礼言っちゃいましたよ。
今日も和室担当だった私が、お片付けをしていると、今度は黒服さんが
”畳替えることにしました!”
”はい。良かったです”
なぜにお二人とも、お知らせして下さるの?
私が、ガンガン畳を拭いていた後姿に、”いくら拭いたってカスが出るじゃない” という苛立ちが出ていたのかも。
先輩に ”和室拭いてきま~す”
そして、先輩からの ”ご苦労様だねぇ” の会話の中に毒を感じていたのかも。
何にしても、良いニュースです。