母と私の着物ぐらし

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母83歳の4月

<その1~高気圧>

 

”お母さん、今ね、日本列島は、すっぽり高気圧に覆われているんだって。”

 

”あっそ、じゃあ、何でこんなに寒いの?”

 

ーーーそれ、ちょっと違う。気持ちはわかるけど、、、

 

 

<その2~ふたつ足りない>

 

”へぇ~あの人、宝石屋さんも始めたの?すごいね!”

 

            

 

その時、テレビでは宝石買取のCMをしていて、”さすが、サンコーさん、高額買取” と言っていました。

 

”お母さん!お母さんが言うのはイッコーさん!ふたつ足りないじゃない。”

 

母は、イッコーさんが好きです。

”ご苦労されたから優しいね。頭もいいね。がんばってるね。” と高評価。

金髪の、前髪にウェーブのある鬘をいつも素敵だと言っています。

 

ーーーだったら、お名前くらい覚えてね。

 

 

<その3~そりゃ無理よ>

 

母は、踊る人なのですが、舞台のために提出するのは、未だにカセットテープなのです。

また、お稽古するときも、少し巻き戻して繰り返しお稽古するには、カセットは便利です。

ですが、回転する機械ってすぐに壊れるのですよね。

母も、また壊れた!という気持ちがあったのでしょう。

 

”変だよ。音がでないの。”

 

”どれどれ、ホントだね。”

 

巻き戻しが十分ではないのかしら?

巻き戻しを押してみて、テープが巻かれる音を聞いたのですが、ハッキリしません。

 

開けてみると、テープが入っていません。

 

そりゃ無理だよ。音出ないよ。

 

 

<その4~来ないで!>

 

若い方々だけではなく、ご年配の方もコロナに対して、ガードの甘い方が多くいらっしゃいます。

 

先日、母がお友達と電話していたのを聞いていると、

 

(母) ”ダメだよ。それじゃ、おんなじこと!今は、ごくごく内輪の家族だけでなければ一緒にご飯なんて食べちゃだめなんだよ。人を呼んでる場合じゃないよ。”

 

お友達が言うには、カラオケが禁止されて、つまらないので、カラオケのお仲間を家に招いて、一緒に食事をして、長い時間おしゃべりを楽しんだというのです。

 

ーーー母は、正しい。

 

(母)”私は、人にうつすのも、うつされるのも嫌だから、どこにも行かないよ。来るのもお断り。”

 

ーーーおおおお、はっきり、来るな!と言っている。

 

(母)”今は、我慢する時なの!今日は電話もらっちゃったけど、今度は私がかけるし、淋しくなったら電話でおしゃべりしようね。”

 

ーーーそうだよ。たまには、お母さんからかけなくちゃ。

 

日ごろから、母に絶大な信頼を置いていて、何でも母に相談してくるお友達です。

お嬢さんが、ワクチンを勧めるのですが、怖いからどうしたら良いかと母に聞いています。

長く糖尿病でお薬も飲んでいらっしゃるので、色々心配なのかと思いきや

 

(お友達)”テレビみていると、注射の針がすごく長いよぉ。怖くって。”

 

(母)”心配するところが違うんだよ!”

 

ーーーはい。私も、そこかぁ~~~~と、突っ込みたくなりました。

 

(母)”コロナもその内には治まるだろうから、そうしたら色々楽しいことしようね。美味しい物も食べに行けない、温泉にも行かれない、このままじゃ悔しいから、頑張って、もう少し生きていようね”

 

ーーーはい!頑張って下さい。