コロナ禍の店の取り組みの一つとして、向かい合わせのお席に透明のつい立を置かせて頂いております。
お客様がお帰りになる度に、アルコール消毒を致します。
以前、設置仕立ての時に私が壊してしまったのもアルコールで拭くときです。
あれ以来、私も躊躇致しますし、黒服さんは、いち早く消毒の作業に入りますので、私は一度もパネル拭きをしておりません。
ちょっと申し訳ないと思って、先輩仲居さんに伺ったら
”私もしてないよ。いいじゃない。任せておけば。”
ーーーそっかぁ。気が楽になったわ。だから、いつも先輩方とご一緒したいのよね。
ーーー1人体制はホントつまんない。
ご夫婦や、ご家族でのご来店ですと、邪魔だから取って下さいと言われることが多いです。
”はずしてもらえますか?すみませんねぇ。” とおっしゃいますが、こちらとしても、後のアルコール消毒が省かれるので、実はラッキーなのです。
先日、どう見てもご夫婦のお客様に、こちらから積極的に、
”ご夫婦でいらっしゃいますものね。仕切りは外させて頂きましょうか?”
”ああ、どうでもいいよぉ。出来れば透明でなくて見えないようなのが良かったなぁ。” (笑)
と、旦那さま。
奥様も負けていません。
”うちは、主婦業も時短なの。8時以降は何もしないわ。” (笑)
結局、つい立は外しました。
ずっと、楽しそうにお話されていました。
が、それぞれご自由です。
奥様はお酒を飲まれなので、お造り、天ぷら、両方でご飯を召し上がりたい。
一方、旦那様は、お酒をゆっくり楽しみたいので、お造りを召し上がり、天ぷらを召し上がり、頃合いを見てご飯にしたい。
どうぞどうぞ、ご希望のままに致します。
コロナで、お店的に大変厳しい中、ご来店下さり、ほんとうにありがたいと思っております。
今の板場は、こういうことを面倒な顔もしないで受けてくれるので、仲居の私が、お客様と板場の間で悩むことがありません。
それは良いのですが、、、
自由なご夫婦ですねぇ~~~~
お互いに合わせようとして疲れてしまうよりも、お互いの価値観を尊重し合うって素敵です。
母の店のお客様で油絵がご趣味の方がいらっしゃいました。
写生にいらっしゃる時は、いつも奥様もごいっしょで、奥様は、お隣で編み物をなさっているそうです。
同じ場所にいて、それぞれご自分のしたいことをなさる。
それでも、同じ場所にいたい。
それがご夫婦というものなのでしょうね。