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仲居さん日記27~仲居さんと着物が被りたくないお客様完結編~3月の着物コーデ

昨日、仲居さんの着物と被りたくないお客様がご来店になりました。

 

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 もやは、私共の店では<ピンクの日>と呼んでいたご予約の日。

あれほど、お天気でありますように!と願っておりましたのに、昨日の東京は大雨。

午後には雷も鳴るという最悪なものでした。

 

さて、この雨の中、<ピンクのお客様>は、ご予定通りにピンクのお着物でご来店になるでしょうか。

 

と、その前に

<着物注意!ピンク以外>との店長の指示の元、私は何を着るべきか。

チト、悩みました。

 

黒子のように地味に徹するか、着物好きな方に関心を持って頂けるように少し攻めるべきか、、、

 

この時期にピンクのお着物となると、きっと桜のお着物だと思うので、桜の柄は避けるべきでしょう。

 

いや、紺の着物で、裾回しに桜の小紋が付いているものがあって、歩くと翻ってチラッと見えるのですが、以前、お若いお客様に ”可愛いですね” とおっしゃって頂いたことがあります。

もしも、気付いて頂いたら、 ”やはり、この時期は桜!ですねぇ” と意気投合するか。

 

いえいえ、やはり、桜は全面禁止!裏生地でもやめましょう。

 

柄の細かい小紋で、せめて春らしい色合いの着物にしましょう。

 

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迷った末に選んだ着物です。

母のお下がりのポリエステルの着物です。

なにせ、大雨でした。

裾を上げて、上には二部式着物の下を巻いて出かけました。

 

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この帯は、締めやすく、着物の色とも合わせやすいので、ヘビーローテーションでした。

胴の部分が擦れてしまったのですが、諦めきれず、今日は、逆手に結んでいます。

 

普段は、交差させるだけで、結ぶことも、捻じることもしないのですが、逆手にすると、とたんにどこを引いたらキュッとなるかも???になってしまうので、結びました。

 

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帯揚げはオレンジ。帯締めは着物の色に近いモスグリーンを選びました。

 

先輩仲居さんも、悩んだとのことです。

ピンク、花柄を避けて、紫がかったグレーのお着物に、オフホワイトの帯を締めていらっしゃいました。

 

 

では、主役の登場!ピンクのお客様です。

雨が強く降る中、ご予定通りお着物でご来店になりました。

 

ん?桜ではありません。

ピンクというより、サーモンピンクの色無地です。まあ、ピンクですね。

 

”どうしても、着物が着たかったんですよねぇ~” (きゃぴきゃぴ)

を、想像しておりましたが、落ち着いたご年齢のお客様でした。

 

大事なホワイトデーのデートよりも、もっと大切な特別なデートかもしれません。

一番奥のテーブルにご案内して、あとは、極力お二人のお邪魔にならないようにしておりました。

 

デザートをお出しするときに、やはり多少お邪魔ではあっても、お着物のことには触れたいと思い、先ずは彼氏さんの方に

 

”デートの時にお着物でいらして頂くと、特別な感じで嬉しゅうございましょう。”

と、お声をかけてみました。

 

”はい。” (にっこにっこ)

 

ーーーおおお、嬉しそう。

 

”ピンクのお着物をお召しと伺っておりました。春らしくてよろしゅうございますね。”

 

よく見ると、色無地のお着物の地紋は、さや型にお花もある綺麗な織のものでした。

 

”綺麗な織柄の色無地でございますね。”

 

”本当は、桜の着物を着たかったんですけど、この雨なので、これにしました。

洗えるきものです。”

 

ーーーそうなのっ!侮れないわ。東レのシルックかしら?

ーーーでも、。予想も外れていた訳ではなかったのですね。

ーーーやはりこの時期は桜の!ですよね

 

”そうなんですか。素敵です。

あいにくの雨ですが、どうぞごゆっくりなさって下さい。”

 

お見送りは、先輩仲居さんがして下さったのですが、笑顔でお帰りになったと伺いました。

ほっと致しました。

 

と、だいぶ時間が過ぎた時に、今は隣のレストランと両方を見ている店長がホールを覗かれて、”あれ?着物着てないね。”

 

”別のお客様です。ピンクのお客様はもう、お帰りになりました。”

 

”そっかぁ”

 

残念そうに戻られました。