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仲居さん日記25~レンタル着物でご来店のお嬢様お二人

京都、金沢、日光、浅草、、、レンタル着物で観光地をめぐるのが流行っているようです。

金閣寺のイラスト     金沢城(石川門)のイラスト

 

        日光東照宮のイラスト    雷門のイラスト

 

数年前は、ズルズルに着崩れた、明らかに始めから着付けが下手であったと思われる気の毒な姿を見かけましたが、最近は、きちんと、しかも華やかにお召しになっていらっしゃいます。

 

先日、私のバイト先にも、レンタル着物店で着付けをしてご来店下さったお嬢様がお二人でお出で下さいました。

 

お店が一瞬で明るくなった感じが致します。

 

 仲良しのお友達のご様子なのですが、お一人はとても大きな柄の小紋で、赤や黄色が使われている華やかなお着物。

もう、お一方は、地色は紺色で、柄も細かいもので、とてもシックなお着物。

あまりに対照的でした。

 

若い時にしか着ることの出来ない派手な着物を、そのチャンスを逃すことなく着てほしいという気持ちは強いのですが、シックなお着物も、却って若さが際立つ美しさも感じました。

 

お二人とも、御自分の個性をよくご存じで、お似合いの着物をお選びになったと思います。

 

帯は 半幅の帯ですが、若い娘さんらしく、高い位置に可愛らしく結ばれていて感心しました。

おそらく、胴の部分と、背のお花のように結ばれている部分は別々の、作り付けの帯だと思います。

 

 私の娘時代には、確か、当時鈴乃屋さんの社長の小泉清子(こいずみきよこ)さんが考案されたセイコ帯というものがあって、松田聖子さんがCMをされていました。

丁度、七五三の七歳の女の子が締める中幅帯と呼ばれる、半幅帯と普通の帯の中間の幅の物で、花弁のように結んだり、文庫結びも羽を二重にして、華やかな結びが出来るのに十分な長さもありました。

 

母が踊り用で似たようなものを持っていますが、高い位置に綺麗に結ぶのはなかなか難しいです。

 

だったら、無理せずに作り帯を利用するのもいいなと感じさせる綺麗な着付けでした。

 

私は、着物を着るのも、着物姿を見せて頂くのも好きです。

お若い方には、是非、着物文化を引き継いで頂きたいという願いがあります。

 

お二人のお姿を拝見しておりましたら、嬉しくなってしまって、

”正面に大きく見えておりますのは、筑波山です。今日は綺麗に見えております。”などと、聞かれてもいないのにお話いたしました。

 

そうしましたら、お一人が ”えっ、ちくご?”

 

もうおひとりが ”つ、く ば、筑波山だって!”

 

”御親戚に九州の方がいらっしゃいますか?

 

”はい、父も母も九州です。祖父母がいます。”

 

”そうなんですね。やはり、御自分寄りの方に聞こえてしまいますものね。”

 

と、ちょっと打ち解けて参りましたので、

 

中禅寺湖のところに男体山という山があるのですが、今日は珍しく綺麗に見えています。冬の間のわずかな日だけ見えるんです。(少し、オーバーめだったことはお許し下さい)”

 

お二人とも、更に窓際までお立ちになって、

 

”すごい!雪かぶってるのが見える!ラッキーだったね!”

と、喜んで下さいました。

 

可愛らしいです。

 

しかし

 

こんなに大きなお嬢様を可愛いと感じる程に、私も十分な年齢になってしまいました。