母は、誰からも親しみのある可愛いおばあちゃんというタイプでは決してありません。
どちらかというと、人を緊張させるタイプです。
あまり口数の多く無い(かといって暗い印象でもありません)若いリハビリの先生は、初めは、母と積極的にコミュニケーションを取ることも無く、黙ってひたすらに筋肉をほぐして下さっていました。
多少、緊張なさっていたのだと思います。
リハビリのお部屋には色々な器具が置いてあります。
時折、それらが崩れたりして音を立てることがあるのですが、そんな時、母は ”にぎやかね” と、ひとこと言。
先生は、 ”すいません” と慌てて謝ったりなさっていました。
母は、先生を気に入っています。
”腕を上げてみてください” と、先生がおっしゃると、ひたすら頑張って上げようとします。
その様子は私から見ても可愛いです。
痛みで、顔に皺が出来ても黙って耐えています。
健気です。
母と先生は大分打ち解けてきました。
お陰様で、 左腕は大分上がるようにはなりましたが、まだ痛みがあるので、私がコートを着せかけるのですが、スムーズに着ることが出来ないと、母は ”だから、下手なのよ、やり方が” と。
私は、いつものことなので ”はい、はい、はい” という感じなのですが、
なんと、そこに先生が ”まあ、まあ、まあ” と、仲裁に入りました。
ーーー先生、母に気に入られていることに気づいて、自身持ってますね。
いつも二人だけでおりますので、二人の会話に誰かが入ることはないので、とても新鮮でした。