衿元も着付けでは重要なポイントです。
<衿を正す>という言葉があります。
乱れた衣服や姿勢を正し、更に気持ちを引き締めるという意味です。
つまりは、衿元はお召しになった方の心構えや姿勢が表現されてしまうということです。
衿合せ
お若い方の着付けは、若さと初々しさを大切に、上品な着付けを目指したいです。
衿元は、V字を浅くきっちりと合わせるのが良いと思います。
花嫁衣裳などの大振袖は、衿元を90度の角度で、のどの窪みにぴったりと合わせるように着付けます。
成人式の振袖も同様です。
小紋や紬などおしゃれ着の場合は、90度とまでいかなくても、やはり、衿元はきちっと詰めてお召し頂きたいです。
衣紋(後ろの衿の部分)も、若い方はあまり抜かないものです。
逆に、ご年配の方は、衣紋は抜きかげんにして、衿元はV字を細く合せます。
衿元は、つめると窮屈そうになりますし、ゆったりしすぎるとだらしなく見えてしまいます。
その辺が難しい所です。
着物と襦袢の衿は、衿肩開き(耳のあたり)までは揃えて、徐々に広げて、最後は指1本分くらいを目安とします。
振袖や、留袖のような正装の場合は、もう少し広めが良いでしょう。
色衿には、無地だけではなく、絞りや小紋などがあります。
留袖などの正装には、白衿が決まりです。
刺繍の衿を選ぶ場合も、糸は、白、金、銀のみのものを使います。
小紋に袋帯を締めて格を上げてお召しになる場合は、白半衿の方が合います。
趣味のお着物としてお召しになる場合は、着物の色と半衿の色でコーディネートを楽しまれるのも良いと思います。
先に、半衿は指一本分と申しましたが、刺繍衿は、美しいところを広めに出しても良いのではないでしょうか。
様々な意匠の衿が売られています。
私も刺繍の衿は素敵だとは思うのですが、お茶のときは使いません。
華美な物の中に入るのでしょう。
仲居さんのアルバイトでも相応しくないと思います。
使う機会が無くて残念です。