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着物に多く使われる文様4~雪輪

雪輪文様がお好きな方、大勢いらっしゃいますね。

私もそのひとりです。

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雪輪の魅力は、そのまぁるい形もさることながら、雪輪の中に色々な柄が描かれることではないでしょうか。

とても可愛らしく感じます。

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雪輪はぼたん雪のイメージを図案化したもので平安時代から使われていたと言います。

 

ところで、雪の結晶は肉眼でも見ることが出来ることを御存じでしょうか。

私は子供のころに見たことがあります。

雪が結晶になって幾つもいくつも降ってきたのです。

どこかの会社のマークくらいに思っていたので、あの複雑で美しい形が自然に生まれてきたことにとても驚きました。

この雪輪の文様も、雪の結晶の美しい六角形を目にした人がデザインしたのではないでしょうか。小さく丸くかけた部分を繋ぐと六角形になります。

 

手のひらに優しく受けても、すぐに消えてしまう雪への愛おしさも雪輪を愛する理由の一つだと思います。

雪輪は完全な円ではなく、所どころかけているところが儚げです。

雪輪を装うことで ” 私は完璧な人間ではありません。もっともっと精進いたします ” という謙虚な気持ちを表現することが出来るのです。

 

ところが雪は儚いだけのものではありません。

雪は<五穀の精>ともいわれ、大雪の年は豊作だと言われています。

<雪は豊年の瑞(しるし)>

<雪は豊年の例(ためし)>

<雪は豊年の貢ぎ物>

などという言葉があります。

稲作には多量の水を必要とするので、雪の多い年は山に降った雪解けの水が豊富なので干害の心配がなく豊作が見込まれるという意味です。

つまり、雪輪は吉祥文でもあるのです。

謙虚さと吉祥を併せ持ったら、それはもう最強です。

 

最強といえば、自然界六角形最強説もありまして、その証拠にはミツバチの巣が六角形だというのです。万年生きるといわれる亀の甲羅も六角形です。

 

 

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 ← これは<雪輪くずし>と呼ばれる文様です。