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6月の着物コーデ~塩沢お召し

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 <塩沢お召し>です。

母が着ているときから好きな着物でした。

日本各地に、その土地土地の織物があります。

これは新潟の塩沢で作られている織物です。

 

<お召し>の正式名は<お召し縮緬>です。

この着物にもしぼがあります。

縮緬>といえば、普通は、後染めの着物の生地です。

<塩沢お召し>は、先染めした糸で柄を織り込んでいます。

 

 

<お召し>には、産地によって、京都の<西陣お召し>や、山形の<白鷹お召し>、新潟には、<塩沢お召し>の他にも<十日町お召し>というものがあるのですが、我が家には、この<塩沢お召し>が唯一存在する<お召し>でしたので、着るもの全てをお召し物というのに、どうして<塩沢お召し>だけがお召しなの?結城紬の着物はお召し物じゃないの?

と、私には不思議な着物でした。

 

 

 

1 お召しの名前の由来

徳川十一代将軍家斉が、たいへん気に入って着用されたので、将軍のお召しになる着物→<お召し>と呼ばれるようになったということです。

 

2 普通の縮緬とのちがい 

糸の精練の仕方から違います。

生糸には不純物が混ざっているので、それを取り除いて、染色や加工をしやすくする必要があります。それを<糸の練り>といいます。

生糸の状態で精練する<先練り>と、生糸を織って織物にしてから精練する<後練り>があります。

 

<お召し>は<先練り> ほかには、紬

縮緬>は<後練り> ほかには羽二重、絽 など

 

先練りの糸を使うことで出るハリとコシが<お召し縮緬>の特徴と言われています。

 

3 お召しの格

着物の格は、染の方が、織よりも上ですが、お召しはその中間的な存在で、織の着物の中では最も格上と言われています。

 

お召しにも無地や縞(縞お召しが将軍家のお気に入りでした)<塩沢お召し>のように絣柄のものと色々あります。

無地のお召しは、もはやお召しだからどうということではなく、普通に色無地として考えれば良いと思います。

紋を付ければ正装になりますし、袋帯を締めることで格も上がります。

縞や絣柄は、趣味の着物としてお召しになったら良いと思います。

 

4 塩沢お召しのコーディネイト

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塩沢お召しには、袋帯よりも名古屋帯や博多帯が合うように思います。

紗の名古屋帯を合せてみました。

帯締め帯揚げは、ブルーの糸を織り込んでいる着物を意識して、水色を選びました。上の写真の通りです。

しぼがあるので、水には弱いです。縮んでしまいます。

梅雨晴れ間や、梅雨入り前の5月末頃に、いち早く単衣をと思われた時にお召しになるのが良いでしょう。

5月には、博多帯を選んでも合うと思います。