<塩沢お召し>です。
母が着ているときから好きな着物でした。
日本各地に、その土地土地の織物があります。
これは新潟の塩沢で作られている織物です。
<お召し>の正式名は<お召し縮緬>です。
この着物にもしぼがあります。
<縮緬>といえば、普通は、後染めの着物の生地です。
<塩沢お召し>は、先染めした糸で柄を織り込んでいます。
<お召し>には、産地によって、京都の<西陣お召し>や、山形の<白鷹お召し>、新潟には、<塩沢お召し>の他にも<十日町お召し>というものがあるのですが、我が家には、この<塩沢お召し>が唯一存在する<お召し>でしたので、着るもの全てをお召し物というのに、どうして<塩沢お召し>だけがお召しなの?結城紬の着物はお召し物じゃないの?
と、私には不思議な着物でした。
1 お召しの名前の由来
徳川十一代将軍家斉が、たいへん気に入って着用されたので、将軍のお召しになる着物→<お召し>と呼ばれるようになったということです。
2 普通の縮緬とのちがい
糸の精練の仕方から違います。
生糸には不純物が混ざっているので、それを取り除いて、染色や加工をしやすくする必要があります。それを<糸の練り>といいます。
生糸の状態で精練する<先練り>と、生糸を織って織物にしてから精練する<後練り>があります。
<お召し>は<先練り> ほかには、紬
<縮緬>は<後練り> ほかには羽二重、絽 など
先練りの糸を使うことで出るハリとコシが<お召し縮緬>の特徴と言われています。
3 お召しの格
着物の格は、染の方が、織よりも上ですが、お召しはその中間的な存在で、織の着物の中では最も格上と言われています。
お召しにも無地や縞(縞お召しが将軍家のお気に入りでした)<塩沢お召し>のように絣柄のものと色々あります。
無地のお召しは、もはやお召しだからどうということではなく、普通に色無地として考えれば良いと思います。
紋を付ければ正装になりますし、袋帯を締めることで格も上がります。
縞や絣柄は、趣味の着物としてお召しになったら良いと思います。
4 塩沢お召しのコーディネイト
塩沢お召しには、袋帯よりも名古屋帯や博多帯が合うように思います。
紗の名古屋帯を合せてみました。
帯締め、帯揚げは、ブルーの糸を織り込んでいる着物を意識して、水色を選びました。上の写真の通りです。
しぼがあるので、水には弱いです。縮んでしまいます。
梅雨晴れ間や、梅雨入り前の5月末頃に、いち早く単衣をと思われた時にお召しになるのが良いでしょう。
5月には、博多帯を選んでも合うと思います。