母と私の着物ぐらし

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手つなぎ散歩と短歌 2

 母との手つなぎ散歩は、転ばれたら大変! 寝たきりになる!! 介護生活!!! というのを避けるための我が家の策です。

母があちらこちらと痛む中、頑張って歩くのも、ますます足腰が衰えて、私に迷惑をかけないためです。

つまりは、我が家の <手つなぎ散歩> は、どちらかというと、私のため。

ところが、このお散歩が、ご近所の私の評判を上げています。

親孝行な優しい娘と見えるようです。

 

<母> 手をつなぎ一歩一歩を合わす娘に羨ましきと車押す老女(ひと)

 

私が男の子だったら、母も頼りに出来て良かったのではないかと考えたこともありましたが、今は、母も女の子で良かったと思っているはずです。

いっしょにお風呂も入れますし、何しろ母のお友達が皆さん羨ましがるからです。

お宅の前で、お会いすると、”いいわねぇ。男の子なんて本当につまらないわよ” といつもお声をかけて下さいます。

おばさま、おばさま、2階の息子さんご夫婦に聞こえますよ。

 

<母> 子は三人男ばかりでつなぐ手の無きはさびしと友は会うたび

 

この歳になった私のことを、母に ”素直でいい子だね” と言って下さる理科の先生のOBがご近所に住んでいらっしゃいます。

そこのお庭には、毎年白い芍薬が見事に咲いて、通る人を楽しませてくれます。

咲くのをとても楽しみにしていることを先生にお話ししましたら、”ああ、母の置き土産だよ” と笑っておられました。

お母様は、お寺さんのお嬢様で、我が家のプランターの草むしりを知らぬ間にして下さるような方でした、もうお会いできないのが寂しいです。

 

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首長き花にも負けず日々眺む堅きつぼみの白きシャクヤク

主よりも勝れる熱意で開花待つ隣家の庭の白きシャクヤク

この春も変わらず蕾ふくらむを母のかたみと微笑む隣人 

道を行く人を見守るごとく咲く優しき人のゆかりの芍薬

<母> 時あれば語りし女の亡き庭に芍薬のつぼみ三十と八つ

 

<手つなぎ散歩> をしておりますと、幼いときに母に手を引かれていた時を思い出すことがあります。

母は、歌が好きな人で、よく童謡を歌って聞かせてくれました。

散歩道の情景にひかれて、同じ歌を二人同時に口ずさむことがあります。

 

雨あがりに母の手を引き散歩する ”夕焼け小焼け” を共に歌いて

<母> 手を引かれ散歩に声の合わされて ”シャボン玉とんだ” 若き日のまま