香炉を床の間に飾るとき、その足が3本の場合、正面は一本足です。
胴に絵があるようなものは、一本足を正面にすると、絵も正面にきます。
お茶のお道具も、一本足が正面です。
風炉の足も1本足が正面になるように作られています。
ところが、先日、アルバイト先で板長から、2本足を正面にお客様にお出しするようにとご指示がありました。
習い事は茶道のみの私としては、ぷちパニック!
でも、板長のご指示には意味があるに違いないので、たまたま法事のお席だったので
逆さなのかしら?とか、とにかく気持ちを落ち着かせて、ご指示に従いました。
調べてみました。
香炉を飾るとき正面(こちら側)は1本足です。
ただ香炉は、もともと三具足(香炉、燭台、花立)のひとつ。つまりは、向こう側には仏様がいらっしゃいます。
2本は仏様側、1本足は人側ということになります。
では、香炉から離れて、3足のお料理の器です。
料理人の方(茶懐石は別として)は、2本足を正面に盛り付ける方が多いようです。
なにしろ、2本足は仏様側ですから、大切なお客様も同じようにという考え方には納得できます。
茶道は、どんなにお偉い方でも躙り口から頭を下げて茶室に入るという文化です。
お客様とて人間側の正面を向けるということだと思います。
また、懐石では利休箸を使います。杉の両細です。
両細ということは、柳箸と同様に一方は神様用、もう一方は人が使うためのものです。
お客様の正面には神様仏様がいらっしゃるということでしょうか。
全てのことに正解、不正解があるのではなく、色々な考えに基づいているのです。
今回改めて強く感じました。